Nietzsche

Nietzsche and Dostoevsky

樋口裕一『ヴァーグナー 西洋近代の黄昏』~ワーグナーの特徴を知るためのおすすめ参考書!

この本ではマルクス、ドストエフスキー、ニーチェについても言及されます。

ワーグナーと思想、文学、哲学の関係についても著者はお話ししてくれますので、様々なジャンルがつながり非常に興味深いです。

ワーグナーの生涯や特徴だけでなく、西洋文化の歴史も知ることができるのでとても面白い本です。クラシック音楽に疎い私でしたが、とてもわかりやすくて夢中になって読むことができました。

中学高校と音楽の授業に大苦戦していた私でしたがこの本はあっという間に読み終えてしまいました。こういう本が教科書だったらもっと音楽が好きだったのにと思ってしまいました(笑)

Nietzsche and Dostoevsky

Nietzsche's Encounter with Wagner - Wagner's enormous influence on the formation of Nietzsche's thought.

ニーチェは若い頃から音楽を愛好していましたが、ワーグナーとの決定的な出会いは1868年、ニーチェ24歳の年に訪れます。彼はワーグナーの代表曲「トリスタンとイゾルデ」と「マイスタージンガー」が演奏されるコンサートに足を運びました。

ワーグナーの音楽によって、全神経が痙攣し忘我恍惚の感情が止まない境地にニーチェは引きずり込まれてしまったのでした。理性の力が全く及ばない混沌。圧倒されるような感覚にニーチェは驚愕するのでした。ニーチェの思想は絶対的なものを求める戦いです。こうした絶対的なものを求めるニーチェの傾向とワーグナーの音楽ががっちりとはまったのでありました。ここからニーチェのデビュー作『悲劇の誕生』が生まれてきたのでした。

Nietzsche and Dostoevsky

J・R=ローゼンハーゲン『アメリカのニーチェ ある偶像をめぐる物語』~アメリカにおけるニーチェ受容の歴史

この本ではニーチェがアメリカにおいていかに受容されてきたかを見ていきます。前回の記事でもお話ししましたがニーチェは読む人によってその姿が変わってきます。つまりニーチェ解釈にはその人その人の個性が出てきます。ニーチェがどのように受容されたかを知ることで当時の人たちの思想を知ることにもつながっていきます。

「ニーチェとは~~である」と言うことは自分の思想表明に他ならないことを感じます。それほどニーチェは謎多き存在なのだなと実感しました。

ニーチェは読む者によって姿を変えるということを感じるのにこの本は非常にいい例を提供してくれます。非常に興味深い1冊でした。

Nietzsche and Dostoevsky

Does Nietzsche change his appearance depending on who reads him? What kind of person is Nietzsche?

ニーチェに関してはそれこそ無数の見解があることでしょう。それほど難解で多面的な顔を持つ存在です。

ニーチェと言えば難解過ぎてなかなか触れる機会もない存在だと思います。ですがそれにも関わらず様々な場所で顔を出してくる存在です。「なんかよくわからないがとにかくすごい人」というのが世の大体のイメージなのではないでしょうか。私もその一人でした。正直、ニーチェがいかなる存在かよくわからないのです。

今回の記事ではこれまで紹介してきた参考書の中から「ニーチェとは何なのか」ということについて書かれた4つの箇所を見ていきたいと思います。

Nietzsche and Dostoevsky

McIntyre, "Elisabeth Nietzsche: The Woman Who Sold Nietzsche to the Nazis" - Nietzsche had a horrible sister! Unprecedented shock!

この本は凄まじいです。衝撃的です。

「嘘でしょ!?」と思わずにはいられない驚くべき事実の連発です。

世界がいかにニーチェを受容していったのかを調べようと思い手に取ったこの本でしたが、想像をはるかに超える面白さでした。

Nietzsche himself was an extraordinary person, but his sister was also an extraordinary person. She and her husband established a pure Aryan village in the interior of Paraguay in South America, where she reigned as the ruler and deceived the villagers. After Nietzsche's madness, she falsified his writings and letters to create a "Nietzsche the Great" to suit her own purposes, and finally joined the Nazis.

この本はそんな恐るべきニーチェの妹の生涯を通してニーチェの人物像もあぶり出していくという作品となっています。

Nietzsche and Dostoevsky

R. Zafransky, "Nietzsche: A Biography of His Thoughts" - Recommended reference book to learn how Nietzsche's ideas came about.

この本の特徴は何と言っても、単なる伝記ではなく、「思考の伝記」であるという点にあります。ニーチェの生涯を辿りながらその思考のプロセスをこの本では見ていくことになります。

しかも難解な哲学者の代表とも言えるニーチェの思想を小難しい言葉をなるべく使わずに解説してくれる点もありがたいです。

この本はわかりやすくも、その本質をしっかりと押さえた参考書になっています。難解なものをわかりやすい言葉で説明するというのはある意味危険を伴います。簡単に表現することで本来のものからかけ離れてしまう危険があるのです。しかしこの本ではそうしたことにならないよう、著者は細心の注意を払っていることがうかがわれます。

Nietzsche and Dostoevsky

渡辺二郎・西尾幹二編『ニーチェ物語 その深淵と多面的世界』~様々な視点からニーチェを知れる画期的な参考書

「ニーチェとは何者なのか。」

これは永遠のテーマなのかもしれません。

読まれる時代、読む者それぞれの違いによって違った姿で現れてくるニーチェ。

この本ではそんな「多面体」というべきニーチェについて考えていく参考書となっています。

ニーチェの生涯や思想面についても簡潔にまとめられていますので、困った時の参考書としても非常に便利な1冊となっています。

Nietzsche and Dostoevsky

W. Schubart, "Dostoevsky and Nietzsche: What Their Lives Symbolize" - Recommended reference book to read from the two men's understanding of Christianity!

著者は絶対的な真理を追い求める両者を神との関係性から見ていきます。

さらにこの本では『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフや『カラマーゾフの兄弟』のイワンとニーチェの類似についても語っていきます。理性を突き詰めたドストエフスキーの典型的な知識人たちの破滅とニーチェの発狂を重ねて見ていきます。これもものすごく興味深かったです。

この本では興味深い箇所が山ほどあり、正直、本そのものを全部引用して紹介したいくらいの気持ちです。ですがそれをしてしまうと大変なことになってしまうのでそれはあきらめます(笑)

ただ、私自身にとってもこの本は非常に衝撃的な作品でした。

この本はドストエフスキー、ニーチェの両者を考える上で非常に有益な参考書です。

フリードリヒ・ニーチェNietzsche and Dostoevsky

ニーチェとドストエフスキーの比較~それぞれの思想の特徴とはー今後のニーチェ記事について一言

今回の記事からドイツの哲学者ニーチェについて考えていきたいと思います。ニーチェと言えば難解な思想や「神は死んだ」という言葉で有名な哲学者ですよね。

正直、私は当ブログでニーチェを紹介することをずっとためらっていました。

というのも、ニーチェは読む者に良くも悪くも強烈な影響を与える存在だからです。

ニーチェの言葉には悪魔的な強さがあります。その感染力たるや凄まじいものがあります。

しかし、最近ニーチェ関連の参考書を読んだり、ニーチェ作品を改めて読み返してみると、これまでとは違ったニーチェが私の前に現れてきました。ニーチェを学ぶことはドストエフスキーの理解をさらに深め、さらに言えば浄土真宗の開祖親鸞聖人を学ぶ上でも非常に有益な視点を与えてくれることに気づいたのです。

意志と表象としての世界Learning from the Philosopher Schopenhauer

ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』を読んで

『意志と表象としての世界』はかなりの大作です。これを完全に理解するのは当時の人たちにとっても現代の私達にとっても至難の業です。

しかも驚くべきことに著者のショーペンハウアー自身が序文でとてつもないことを述べるのです。

彼はまず言います。この本は2回読まねばわからぬと。

こんな難しくてしかも長い本を2回も読めと。しかも1回目はまずわからないだろうから忍耐が必要だと最初から宣言するのです。さすがショーペンハウアー、言うことが違います。

他にも驚きの言葉がどんどん出てきます。やはりこの作品は一筋縄ではいきません