Aya Ikegame, "India's Cruelest Tales: The World's Toughest People" - The deep-rooted darkness of the caste system. A book recommended to learn about the present day India, a great country!

A Tale of Indian Cruelty Indian thought, culture and history

池亀彩『インド残酷物語 世界一たくましい民』概要と感想~カースト制度の根深い闇。大国インドの現在を学ぶのにおすすめの一冊!

今回ご紹介するのは2021年に集英社より発行された池亀彩著『インド残酷物語 世界一たくましい民』です。

まず先に言わせてください。

私はこの本に強い衝撃を受けました。僧侶としてショックを受けずにはいられない問題がこの本で説かれていたのです。詳しくはこの記事の後半で改めてお話ししますが、私にとってこの本はインドという存在を考える上で大きな問題を提起してくれることになりました。

Let's take a look at the book.

世界有数の大国として驀進するインド。その13億人のなかにひそむ、声なき声。残酷なカースト制度や理不尽な変化にひるまず生きる民の強さに、現地で長年研究を続けた気鋭の社会人類学者が迫る!
日本にとって親しみやすい国になったとはいえ、インドに関する著作物は実はあまり多くない。
また、そのテーマは宗教や食文化、芸術などのエキゾチシズムに偏る傾向にあり、近年ではその経済成長にのみ焦点を当てたものが目立つ。
本書は、カーストがもたらす残酷性から目をそらさず、市井の人々の声をすくいあげ、知られざる営みを綴った貴重な記録である。
徹底したリアリティにこだわりつつ、学術的な解説も付した、インドの真の姿を伝える一冊といえる。
この未曾有のコロナ禍において、過酷な状況におけるレジリエンスの重要性があらためて見直されている。
超格差社会にあるインドの人々の生き様こそが、「新しい強さ」を持って生きぬかなければならない現代への示唆となるはず。

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This book is a work that discusses the caste system in contemporary India. As mentioned in the book introduction above, this book is a valuable record based on the author's field research. There is a real life there that cannot be known only by reading literature on a desk.

著者は「はじめに」でこの本について次のように述べています。

この本では、あくまで「私的」であることにこだわりたいと思う。

記述の多くは、私が話し、聞き、感じたことに基づいている。また、話し手も自身の私的でしかありえない人生を語ってくれている。私的で個別的ないくつかの人生の物語から、現在大きく変化を遂げているインドの今を垣間見ることができないだろうか。それが本書のささやかなねらいである。

ここでは現代インドを包括的に捉える統計データや選挙データなどはほとんど出てこない。むしろそうした大きなデータからはこぼれ落ちてしまう人々の声を拾いたいと思う。

特に意図したことではないのだが、この本の登場人物の多くは、都市に住む上位カーストのエリートたちではなく、都市の労働者であり、農村部の土地持ちの権力者ではなく土地なし農業労働者である。そのためもあってか、経済成長を続けるダイナミックなIT大国、拡大する中間層、中国と対抗する政治大国という、インドの新しいポジティブなイメージを前面に押し出す、最近のインド論とは少し趣が異なるかもしれない。

だが、インドの闇を描こうというつもりもない。

インド社会の底辺でギリギリの生活を生きる人々には、不思議と惨めそうにしている人は少ない。彼らにカメラを向けると、花売りのおばさんも牛飼いの青年も背筋を伸ばして堂々とこちらを見返してくる。現地の言葉を学び、友人とアパートを借りてインドに住み始めたニ〇〇〇年頃、部屋の掃除や家事を手伝いに来てくれていた中年の女性(カンナダ語では「ケラサダワル」という。直訳すれば「仕事の人」)がいた。彼女は教育を受けたことがなく文字を知らない人だったけれど、賢くたくましい女性で、世間知らずの私にいろいろなことを教えてくれた。自分と同じように、裕福な中間層の家事手伝いとして低賃金で働く多くの女性たちの相談役にもなっていた。彼女が私に一度言ったことがある。

「私たち貧乏人には、金も地位も何にもないけど、マリヤーデ(名誉・誇り・礼節)を持つことはできるのよ」

これはそんな誇り高き人々の物語である。

集英社、池亀彩『インド残酷物語 世界一たくましい民』20-22

この本に登場するのはインドのエリート階級ではなくあくまで大多数を占める一般の人々や、「ダリト」というカースト差別を受けている人々が中心になります。

この本の第一章ではいきなりカースト差別の強烈な負の側面を私達は知ることになります。

現代においては「法律上は」カースト制度はなくなったことになっています。しかし現実的には未だにカースト差別は根強く、悲惨な事件も途絶えることがありません。

第一章で語られるカースト差別の実態は直視するのが苦しいほど悲惨です。

私はここ最近、古代インドから遡り仏教について学んできました。そして仏教がカースト制度に反対する形で生まれてきたこともそこで改めて学んだわけでした。

「仏教はカースト制度に反対していた」

言葉で表すならば、それだけです。私はそれを頭でわかったつもりになっていたのです。

ですが実際にこの本を読んでカースト差別の生々しい実態を知った時、自分がいかにわかっていなかったかを痛感しました。

カースト差別が現在でもこれほど強力に残っているのかということに驚いたのはもちろん、「実際にどんな差別を受け、どんな恐怖、屈辱に生きていかなければならないか」を知り、私はそれこそ恐れおののいてしまったのでした。

「仏教はカースト制度に反対していた」

言葉で言うならば簡単です。そしてその言葉を覚えることも簡単です。

ですが実際に当時の人々がどのように生き、どのようなことに苦しんでいたかを想像することは全く別物です。

自分の学び方は甘かったなと痛感させられた読書になりました。原始仏教に対する考え方がまたひとつ変わったように思います。

圧倒的な成長を見せるインドの影をこの本では知ることになります。この本を読めばインドという強烈な存在を通して私たちの生きる日本についても考えることになることでしょう。

「日本はもうだめだ」という悲観的なムードが漂っている今、改めて自分たちの生きる世界について考えるきっかけにもなる本です。これは素晴らしい作品です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。

以上、「池亀彩『インド残酷物語 世界一たくましい民』~カースト制度の根深い闇。大国インドの現在を学ぶのにおすすめの一冊!」でした。

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