Saburo Nagabe's "Communicative English Expression Methods" - The hottest recommended English teaching book that keeps selling out! I wish I had known about it earlier!

岩波書店から出たこの本が異様に売れているというツイートを見て、「どれどれ?」と気になり覗いてみるとどうやらこの本はものすごい1冊だったようです。いい本がたくさん売れるのは素晴らしいことです。日本人の英語力、いや文化力に必ずそれは反映されます。この本がもっともっと広まることを願っています。

小栗浩『人間ゲーテ』~ゲーテ入門に最適!ゲーテとはいかなる存在か、その魅力を解説する1冊!

「人間ゲーテ」を描きだすこの1冊は非常に興味深いものとなっています。

そしてまたありがたいのが読みやすく、わかりやすいという点です。

ゲーテというと「難しい」イメージがありますがこの本は時代背景やゲーテの生涯を中心に、入門者でも理解できるように書かれています。

やはり当時の時代背景がわからないとその人物がなぜすごいのかということはわかりにくいです。

逆に言えばそこをしっかり押さえればその人物の魅力も浮き上がってくることになります。

ゲーテはなぜ世界史上最高峰の人物として称えられているのか。また、彼の代表作『ファウスト』がどれだけすごいものなのかということがこの本を読むことで見えてきます。

G. Holmsten, "Rousseau" - Recommended biography for an introduction!

この本のありがたいのは絵や写真などのビジュアル資料も豊富な点です。当時の様子などもイメージしやすかったです。

また、伝記としても当時の時代背景などの知識がない人にもわかりやすく伝えるように書かれています。非常に読みやすく、すらすらと進むことができます。波乱万丈なルソーの生涯やその思想の特徴を楽しく学ぶことができます。

これまで当ブログでも紹介してきたヴォルテールも同時代人です。そのヴォルテールとの因縁もこの本では詳しく知ることができます。ヨーロッパ思想を切り開いた両者がなぜ犬猿の仲になったのか、それも非常に興味深かったです。

Voltaire's "Tolerance Theory" - What is Voltaire's indictment against fanaticism and religious conflicts! A great book to read now!

この本は「カラス事件」をきっかけに書かれ、当時の狂信に対するヴォルテールの激しい反発が込められています。

しかし、全体を読んでみると厳しい言葉や攻撃的な言葉が意外と少ないことに気づきます。彼は一線を越えないのです。この辺のバランス感覚の絶妙さがヴォルテールのヴォルテールたる所以であるように感じました。

彼はこの本で宗教的不寛容の実例をいくつも紹介し、その弊害を説きます。

『寛容論』は現代にも通じる名著です。寛容さが失われつつある現代こそ、この本は非常に大きな意味を持つのではないでしょうか。ぜひおすすめしたい1冊です。

Voltaire's "Candide" Synopsis and Comments - Refutation of the best theory, and connection to Dostoevsky's "The Brothers Karamazov".

『カンディード』は18世紀中頃の作品ではありますが、全く古さを感じない作品です。物語もドラマチックでストーリーにぐいぐい引き込まれます。とても面白い作品でした。

そして『カラマーゾフの兄弟』をとのつながりを感じながら読むとこれまた味わいが増してきます。ドストエフスキーファンの方にもぜひおすすめしたい1冊です。

Mizuho Hokari, "Voltaire's Century: A Century of Spiritual Freedom" - A recommended biography that explains Voltaire's life in an easy-to-understand manner!

この作品は450ページを超える大作です。ですが一気に読めてしまうほどの面白さがこの本にはあります。著者の劇的な語り口によって、まるで小説を読んでいるかのような気持ちになります。

そして何より、ヴォルテールという人物の魅力!これに尽きます。

『哲学書簡』や『寛容論』、『カンディード』などで有名なヴォルテールですが、名前や作品は有名ではあってもこの人物がどんな時代に生きて、どんな生涯を送ったかというとほとんど知られていないというのが実際のところではないでしょうか。かく言う私も彼についてはほとんど知らなかったというのが正直なところでした。

ですがこの本を読んで驚きました。ヴォルテールという人物がどれほど革新的で、後の世にどれだけ大きな影響を与えたのかというのかが明らかになります。

アルセニイ・グリガ『カント その生涯と思想』~思想と時代背景を解説する1冊。ドストエフスキー、トルストイとの関係も

著者のアルニセイ・グリガはソ連の研究者です。かつてのソ連の研究はイデオロギーがかなり混入することが多かったのですがこの本の原著が書かれたのは1977年ということでそこまでイデオロギーを感じることはありません。

また、ソ連の研究者ならではの視点、ドストエフスキーとトルストイとの関係という点からカントを見ていく点もこの本の特徴です。

入門書としては少し厳しいものがあるように思えますが、カントが活躍した時代の社会情勢や文化背景を知ることができるのは非常に有益です。カントをより深く知りたい方におすすめしたい一冊です。

石井郁男『カントの生涯 哲学の巨大な貯水池』~人となりや時代背景を知れるおすすめカント伝記

この伝記はカント入門に最適です。この本はそもそもカントとはどんな人間だったのか、どんな環境で生まれ、どんな生涯を送ったかをわかりやすく解説してくれます。とにかく読みやすいです。

カントといえば難解な哲学者のイメージがありますよね。私もカントの著作には何度も挑戦しましたがその度に跳ね返され挫折しています。

とにかく難解!私にとってもカントは巨大な壁でした。

ですがそれでもなんとか少しでもカントのことを知ることはできないだろうか、そう思い手に取ったのがこの本でした。

そしてこの本はそんな私の期待に見事に応えてくれました。ぜひぜひおすすめしたい伝記です。

H. Althouse, "Biography of Hegel: The Heroic Age of Philosophy" - A new biography of Hegel that approaches Hegel's personality.

この伝記を読んでみるとローゼンクランツの『ヘーゲル伝』とその雰囲気がかなり違うことにすぐに気づきます。

While Rosenkranz's "Biography of Hegel" devotes a considerable amount of time to issues of Hegel's thought, Althouse's biography carefully follows his life, how he interacted with people, and what events influenced him.

This makes it possible to follow Hegel's life like a story. Frankly, it is considerably easier to read and more interesting than Rosenkranz's "Biography of Hegel".

さらにこの伝記ではマルクスとの関係など、その後の世界に与えた影響も知ることができたのがありがたかったです。

K. Rosenkranz, "Biography of Hegel" - The authoritative classic of Hegelian biography.

本書における解説の最後で「これを凌駕するへーゲル伝がかつて書かれたことはなく,今後も現われないであろう。」と述べられるほどこの伝記はヘーゲル研究において評価されている作品と言えます。

私にとっては難易度の高いこの伝記ではありましたが、ヘーゲルを学ぶ上では必読とも言える非常に評価の高い伝記です。ヘーゲル伝記の古典としてこの本は重要な作品と言うことができるでしょう。