今作の分量はなんと二冊合わせておよそ１８００ページという驚異の大ボリュームです。

仏教の入門書としては正直おすすめすることはできませんが、原始仏教についてより深く学ぶには非常におすすめな作品です。

この本は原始仏教における思想を原典に即して見ていくところにその特徴があります。最初期の仏教教団はどのようなことを説いていたのか、そしてどのように思想が発展、体系化されていったのかを原典を読みながら解説していきます。原典の引用がとにかく膨大です。

思想面にフォーカスしてがっちり説かれるこの本は読みごたえ抜群の名著です。

この本は仏教教団の最初期について解説された作品です。中村元先生は最初期の仏教教団の様子を当時の時代背景や思想界の様相と絡めてこの本でお話ししていきます。

仏教が起こってきた時代背景については以前当ブログでも紹介した中村元著『古代インド』でも語られていました。この『古代インド』は初学者でもわかりやすく読むことができる入門書として非常におすすめな作品ですが、本作『中村元選集〔決定版〕第14巻 原始仏教の成立 原始仏教Ⅳ』ではさらにかっちりと古代インドと原始仏教教団のつながりを見ていくことができます。

仏弟子といえば舎利弗や目犍連、摩訶迦葉を筆頭とした十大弟子が有名ですが、この本では彼ら十大弟子だけではなく、教団に所属していたたくさんの修行者たちの姿も知ることができます。

この作品では最初期のブッダ教団がどのような雰囲気だったのかを知ることができます。原始仏教について学ぶ上で非常にありがたい作品でした。

実は私はこの本を読むまで、中村元先生その人のことをほとんど知りませんでした。ですが、この本を読んで驚いたのですがまさに異次元とも言える業績を残された方でありました。

この本を読んで、大きな視点で世界を見ていく中村元先生のあり方に私も心打たれるものがありました。

この本は仏教とは何かを考えさせられる、非常に大きな意味を持った作品です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。先生の異次元の業績に驚くこと間違いなしです。

The book begins with the prehistory of India, then moves on to the Indus civilization, the Aryan invasion, and the development of Brahmanism, detailing the process of the birth and decline of Buddhism. You will learn in an easy-to-understand manner why Buddhism was born, to which people Buddha's teachings resonated, how the Buddhist cult spread through India, and how it ended up declining in the end, and these major trends.

There are countless books explaining Buddhist teachings and ideas, but there are surprisingly few that summarize the historical background and climate in which these ideas were born in an easy-to-understand manner. This book is a valuable work that contains many unexpected discoveries for us Japanese. I am sure you will be surprised if you read this book.

中村元先生は思想だけではなく、その時代背景も詳しく語ってくれる先生です。ですので六師外道が生まれてきた背景やそこからブッダが活躍するまでの流れもこの本では知ることができます。ブッダもたったひとりで全ての思想を生み出したわけではありません。六師外道をはじめとした優れた思想家たちとの切磋琢磨を経て思想を生み出しています。こうした思想形成の流れを知る上でも六師外道やジャイナ教を学ぶことは大きな意味があると思います。

I highly recommend this work.