Yoshinari Nishinaga, "The World of 'Les Misérables'" - A book explaining the relationship between Remisé, Napoleon, and the Revolution.

The World of Les Miserables To enjoy "Les Miserables" even more

レミゼとナポレオン、革命の関係を解説した1冊―西永良成『『レ・ミゼラブル』の世界』概要と感想

今回ご紹介するのは2017年に岩波書店より発行された西永良成著『『レ・ミゼラブル』の世界』です。

早速本紹介を見ていきましょう。

世界的な名作『レ・ミゼラブル』を通読した読者は少ない。原因はその長大さばかりでなく、「哲学的部分」と呼ばれるユゴーの膨大な「蘊蓄」にある。しかし、「哲学的部分」こそ実は一番面白い。作品の成立の過程を辿り、歴史的背景を参照しつつ、作品に込められたユゴーの思想を読み解く。大作にチャレンジしたくなる一冊。

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The book is unique in that it reveals Hugo's thoughts on the original story of "Les Miserables," which is rarely read through.

著者はまず次のように述べます。

『レ・ミゼラブル』Les Miserables(貧しい人びと・惨めな人たち)は、貧しい労働者を題材とした『クロード・グー』(一八三四年)以後、二八年ぶりに公刊したユゴー六冊目の小説である。この畢生の大作は発表されるや空前のべストセラーになったばかりか、今日でもなおフランスで読まれている本のうち、『聖書』に次いで第二位の位置を占めている。文字通り、ユゴーの代表作である。

しかし、きわめて有名なこの「世界の名作」は、長大かつ複雑きわまる小説であり、ともすれば初めて読む読者の意気を削いでしまう。じっさい、ジャン・ヴァルジャンが銀の食器を盗み、それを司教に許されるという冒頭のくだりはどこかで読んだり、あるいは映画やミュージカルで内容は知っているという人が多くても、最初から最後まで一気に読み通したという読者は少ないだろう。

なぜこの小説は読みづらいのか。もちろん、その理由のひとつは、これがきわめて長大な小説だからである。拙訳では五〇〇頁前後の文庫本で五冊の分量にもなる。また、登場人物が一〇〇名を超え、主要な人物のみならず、副次的な人物の生い立ち、容貌、性格まで一人ひとりできるだけ丁寧に描き出され、作品世界を多重、多彩にする反面、ストーリーの展開を複雑にしている。さらに、さきに述べたように、小説のなかに「哲学的な部分」、つまりかなり長い逸脱、余談が相当数挿入されているので、しばしば途方に暮れることがある。

これらの困難を乗りこえるには、あらかじめ作品の構造のパースぺクティブ、つまり大体のアウトラインを心得ておくことが有益だと思われる。登山をするにも地図があったほうがいいのと同じことだ。

岩波書店、西永良成『『レ・ミゼラブル』の世界』P3ー4

レミゼの原作はとにかく長いです。しかも以前当ブログでも紹介しましたが、一見ストーリーとは関係ないように思える内容が延々と続きます。

レミゼを初めて読んだ人がまず驚くのは、主人公のジャン・ヴァルジャンが全く出てこないことです。上の記事では次のようにお話ししました。

The first character depicted in this work is Bishop Miriel.

He is a virtuous high priest, in a word, too good to be true.

The story begins with the story of who the supremely good Bishop Mriel is.

He always gives most of the money he has on hand to the poor and devotes himself to the city in secret.

What a tale of his goodness that goes on for 111 pages.

This means that by the time the main character appears, we are shown more than 100 pages of episodes about the bishop that seemingly have nothing to do with the story.

Les Miserables ㈠ Part I: Fantine" Synopsis - Who is Jean Valjean, the great protagonist?

正直、こうしたメインストーリーとは一見無関係な文章が延々と続くのは読む側からするとかなり苦しい展開です。

しかし著者の西永良成氏によればこうした箇所にこそレミゼの面白さがあり、これらの記述の背景を知ることでレミゼがもっと面白くなるということを教えてくれます。

そして先ほどの引用のすぐあとでレミゼの簡潔なあらすじが語られていきます。原作のエッセンスがコンパクトかつ絶妙にまとめられていてとてもわかりやすいです。このあらすじは非常にありがたいです。

After first gaining an overall picture of Remisée in this way, the author goes on to explain Hugo's ideas and the background behind Remisée.

From the French Revolution of 1789 to the rise of Napoleon, and from there to the July Revolution of 1830, Remisée is connected to the history of France. Knowing this background, you will see Remisée in a different light.

In particular, Napoleon's presence is very significant for the Remisé. This book explains this point very clearly and I highly recommend it.

We encourage you to pick up this book as a reference for learning remise.

以上、「西永良成『『レ・ミゼラブル』の世界』~レミゼとナポレオン、革命の関係を解説した1冊」でした。

次の記事ではこの本を参考にレミゼの時代背景を見ていきます。

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