『カーマ・スートラ』~古代インドの性愛の法典。カジュラーホー寺院やタントリズム、密教に深い関係も

『カーマ・スートラ』を実際に読んで感じたのは、いわゆる現代の恋愛指南とそっくりということでした。

「どんな男がモテるのか」、「男を惹きつける方法」などなど、ものすごく身近な話題が出てくることに驚きました。「自分に言い寄ってくる嫌いな男を遠ざける方法」や「精力のない男を元気にする方法」が説かれた箇所では思わず笑ってしまいました。当時の男女間の様子が目に浮かんでくるようです。まさに当時の文化、生活を知れる第一級の資料であることに間違いありません。

『カーマ・スートラ』は単なる好色文献というわけではありません。どぎつい性的表現ばかりと誤解されていますが、それもあくまで男女間の生活の一部分です。男女の出会い、そして共に歩む人生、その全体を含んでの『カーマ・スートラ』です。この法典を読んで男女間における生活規範がびっしり説かれていることに私も驚きました。