山崎佳代子『ベオグラード日誌』~読売文学賞受賞作!空爆後のセルビア生活を紡った珠玉の言葉たち

ユーゴ紛争、NATO空爆を経たベオグラードの街で詩人である著者は何を見て、感じたのか。

紛争後も続く何気ない日常。

その日常を綴った言葉の中に、じんわりと見え隠れしてくる紛争の影・・・

わかりやすい「特別な出来事」ではなく、そこで今も生きる人たちの日常を捉えたこの作品は非常に稀有な存在だと思います。ただ単に日常を切り取っただけでなく、そこに何か人間生活の奥深さが感じられてくる不思議。

この作品が読売文学賞を受賞したのももっともだなと思いました。不思議な力がある作品です。