ニーチェとワーグナーとの出会い~ニーチェの思想形成におけるワーグナーの巨大な影響とは

ニーチェは若い頃から音楽を愛好していましたが、ワーグナーとの決定的な出会いは1868年、ニーチェ24歳の年に訪れます。彼はワーグナーの代表曲「トリスタンとイゾルデ」と「マイスタージンガー」が演奏されるコンサートに足を運びました。

ワーグナーの音楽によって、全神経が痙攣し忘我恍惚の感情が止まない境地にニーチェは引きずり込まれてしまったのでした。理性の力が全く及ばない混沌。圧倒されるような感覚にニーチェは驚愕するのでした。ニーチェの思想は絶対的なものを求める戦いです。こうした絶対的なものを求めるニーチェの傾向とワーグナーの音楽ががっちりとはまったのでありました。ここからニーチェのデビュー作『悲劇の誕生』が生まれてきたのでした。