チェーホフ『決闘』あらすじと感想~ロシア文学の伝統「余計者」の系譜に決着を着けた傑作

チェーホフはこの作品の主人公に「ロシアの余計者」の血を引くラエーフスキーという人物を置きました。

ロシア文学の伝統とも言える「余計者」たちは人生に飽き、生きることに投げやりな存在でした。しかしチェーホフはこの作品においてそんな余計者の末裔ラエーフスキーに試練を与えます。

チェーホフは人生の意味は何かを問い続けた作家です。その彼にとって「人生は意味のない虚しいものだ、どうせ自分にはどうしようもない」と投げやりになっている余計者たちの思想をどう乗り越えていくのかというテーマは非常に重要なものであったように思われます。