G・ショーペン『インド大乗仏教の虚像と断片』~インド仏教研究に革命を起こした泰斗による最新の論文集!

今作もショペン節全開で刺激的な読書になること間違いなしです。

私の中で特に印象に残っているのが第3章の「ブッダの遺骨と比丘の仕事」と第8章の「クシャーナ期阿弥陀仏像碑文とインド初期大乗の特質」です。

「原始仏教は葬式をしない。遺骨への供養も存在しない。それなのに日本仏教は葬式や先祖供養をする。これは仏教として間違っている」

このような批判が今も根強く残っていますが、実はこの批判そのものがもはや学術的に成立しないことがショペンの説から明らかになります。当時のインド仏教徒にとっても遺骨の存在は大切なものだったということが考古学的な証拠から明らかにされつつあります。これは刺激的な論稿でした。

また真宗僧侶である私にとって阿弥陀仏像の碑文のエピソードは非常に興味深いものがありました。