(26)ベルニーニの挫折と失脚~パトロンウルバヌス八世の死と鬼才ボッロミーニの台頭

イノケンティウス十世の即位によって失脚してしまったベルニーニ。黙々と『真実』の像を彫り続けるベルニーニであったが、やはり彼は偉大な男でした。

この『真実』という作品について石鍋真澄は「我々がこの作品から学びうるのは、べルニーニは常に何か仕事をせずにはいられない勤勉な性格の持主だったということ、そして彫刻は彼にとって究極的表現手段だったということである。」と述べています。

失脚し、人生初の挫折、屈辱を味わった時でもベルニーニは彫り続けたのです。ここにベルニーニの人柄が凝縮されていると思います。

そしてこの像とともに「真実こそ最大の美徳だ」という言葉を子どもたちに残したというのも彼らしい誠実さが伝わってくるのではないでしょうか。