ツルゲーネフ『処女地』あらすじと感想~ロシアの70年代ナロードニキ青年達を描いた大作

ドストエフスキーの『悪霊』が書かれたのはまさに1870年頃のことです。

これはツルゲーネフが描こうとした70年代の青年とぴったり重なります。

ツルゲーネフは社会主義思想を信ずる過激派が農村に潜入し暴動を起こす流れを描写しました。

それに対しドストエフスキーはある街を舞台に、社会主義革命家が起こす大混乱と陰惨な事件を描きました。

舞台は違えど2人の問題意識は共通するものがあります。

物語の深刻さ、どす黒さという点では『悪霊』のほうが圧倒的に際立っていますが、『処女地』の視点も非常に興味深いです。文学スタイルの違う2人の作品を見ることでより深くこの時代の人間精神を学ぶことができるような気がします。