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ニーチェとドストエフスキー

橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』~ニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ

橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』概要と感想~ショーペンハウアー、ニーチェのニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ! フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)…

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教養とは何か~読書や知識量で得られるものなのだろうか

今、世の中は「教養ブーム」と言えるかもしれません。

「ビジネスに効く教養」や「人生の役に立つ教養」をわかりやすく紹介する本や情報が大量に出回っています。

ですが、知識をたくさん得ることで自分が教養のある人間だと思い込み、他者を下に見るようになってはそれこそ本末転倒なことになってしまうのではないでしょうか。人としてあなたはどう生きるか、何をしているのか、その生き様が問われるのが教養なのではないかと感じました。

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『西尾幹二全集第五巻 光と断崖ー最晩年のニーチェ』~発狂直前のニーチェの思想を解説したおすすめ作品 

本書の中で個人的に驚きだったのがドストエフスキーとの関係です。他の参考書ではニーチェがドストエフスキーの後期作品を読んでいたかは不明だとされていたのですが、西尾氏によると『悪霊』や『白痴』の影響が『アンチクリスト』には明らかに反映されていて、資料的な裏付けもしっかりとなされているとのことでした。

『偶像の黄昏』、『アンチキリスト』、『この人を見よ』をもっと深く知りたい方にはこの本は非常に役に立つと思います。これらの作品に込められた意味や制作の背景がくっきりと見えてきます。

また、ニーチェの問題作『権力への意志』についての詳細な解説もこの本の魅力の一つです。『権力への意志』がどのように成立したのか、そしてその問題点はどこにあるのかということが詳細に語られます。

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西尾幹二『ニーチェ 第二部』~大学教授、看護兵、高校教師としてのニーチェの意外な素顔を知れるおすすめ作品!

西尾幹二の『ニーチェ 第二部』では様々なニーチェの姿をもっともっと詳しく知ることができます。大学教授となったニーチェの生活、ワーグナーとの運命的な出会い、デビュー作『悲劇の誕生』の成立過程が詳細に語られます。今回の記事ではその一部を紹介しましたが、興味深い事実が満載です。

非常におすすめな1冊です。ニーチェに対する見方が変わるほどの作品です。ぜひ手に取って頂ければと思います。

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なぜニーチェは難しいのか、人によって解釈が異なるのか~ドストエフスキーとの共通点

なぜニーチェは難しいのか、人によって解釈が異なるのか 前回の記事では西尾幹二の『ニーチェ 第一部』をご紹介しましたが、今回はその本の中でも特に気になった箇所があったので皆さんと一緒に考えていきたいと思います。 タイトルに…

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西尾幹二『ニーチェ 第一部』~哲学者になる前の若きニーチェの姿を知れるおすすめ伝記

この本ではかなり丁寧に当時の時代背景やニーチェの生活が振り返られていきます。

この本は全367ページとなかなかな分量ですが、この本ではニーチェが学者となる前の青年時代、1865年までのニーチェが書かれます。つまり、21歳までのニーチェを丸一冊かけてじっくりと見ていくことになります。

単にニーチェの生涯を学ぶだけでなくそこから私たちが何を思うのか、それを体感していく読書体験になりました。知的興奮を味わえる1冊です。とてもおすすめな作品です。

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ヒュー・マクドナルド『巡り逢う才能ー音楽家たちの1853年』~ワーグナーやブラームスら天才音楽家が交差する奇跡の1年を描写

私はこれまでドストエフスキーを学ぶ過程でヨーロッパの歴史や文化を「文学の観点」から見てきました。

ですがこの本では「音楽という観点」から当時のヨーロッパを知ることができました。

よくよく考えてみれば本来、文学も音楽も切り離されるものではなく、互いに関連し合って存在するものです。一九世紀半ばのヨーロッパがどのような世界だったのかを音楽という側面から眺めることができたのは非常に大きな体験でした。

音楽に興味がある人だけでなく、文学やヨーロッパそのものに興味がある方にもぜひおすすめしたい作品です。

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樋口裕一『ヴァーグナー 西洋近代の黄昏』~ワーグナーの特徴を知るためのおすすめ参考書!

この本ではマルクス、ドストエフスキー、ニーチェについても言及されます。

ワーグナーと思想、文学、哲学の関係についても著者はお話ししてくれますので、様々なジャンルがつながり非常に興味深いです。

ワーグナーの生涯や特徴だけでなく、西洋文化の歴史も知ることができるのでとても面白い本です。クラシック音楽に疎い私でしたが、とてもわかりやすくて夢中になって読むことができました。

中学高校と音楽の授業に大苦戦していた私でしたがこの本はあっという間に読み終えてしまいました。こういう本が教科書だったらもっと音楽が好きだったのにと思ってしまいました(笑)

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ニーチェとワーグナーとの出会い~ニーチェの思想形成におけるワーグナーの巨大な影響とは

ニーチェは若い頃から音楽を愛好していましたが、ワーグナーとの決定的な出会いは1868年、ニーチェ24歳の年に訪れます。彼はワーグナーの代表曲「トリスタンとイゾルデ」と「マイスタージンガー」が演奏されるコンサートに足を運びました。

ワーグナーの音楽によって、全神経が痙攣し忘我恍惚の感情が止まない境地にニーチェは引きずり込まれてしまったのでした。理性の力が全く及ばない混沌。圧倒されるような感覚にニーチェは驚愕するのでした。ニーチェの思想は絶対的なものを求める戦いです。こうした絶対的なものを求めるニーチェの傾向とワーグナーの音楽ががっちりとはまったのでありました。ここからニーチェのデビュー作『悲劇の誕生』が生まれてきたのでした。

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J・R=ローゼンハーゲン『アメリカのニーチェ ある偶像をめぐる物語』~アメリカにおけるニーチェ受容の歴史

この本ではニーチェがアメリカにおいていかに受容されてきたかを見ていきます。前回の記事でもお話ししましたがニーチェは読む人によってその姿が変わってきます。つまりニーチェ解釈にはその人その人の個性が出てきます。ニーチェがどのように受容されたかを知ることで当時の人たちの思想を知ることにもつながっていきます。

「ニーチェとは~~である」と言うことは自分の思想表明に他ならないことを感じます。それほどニーチェは謎多き存在なのだなと実感しました。

ニーチェは読む者によって姿を変えるということを感じるのにこの本は非常にいい例を提供してくれます。非常に興味深い1冊でした。