アダム・スミス『道徳感情論』概要と感想~現代にも通じる名著!人間道徳の本質と共感する心を考察!

人間道徳の本質は何なのか。そしてそこにおいて大きな役割を果たす共感とは何なのか。

アダム・スミスはこの著作で明らかにしていきます。

私がこの本を読んで驚いたのはアダム・スミスの観察力の鋭さでした。

読んでいて思わず「よく観てるな~この人は」とうならざるをえない場面が何度もありました。

今回の記事ではずいぶん「驚いた」という言葉を使ってしまいましたが、仕方ありません。実際この本を読んで私は驚きっぱなしだったのです。それだけこの本の衝撃は大きかったのです。

これは名著です!ぜひ読んで頂きたい作品です!おすすめです!

堂目卓生『アダム・スミス』概要と感想~「見えざる手」の誤解を解くおすすめ参考書

この作品はスコットランドの経済学者アダム・スミスの『道徳感情論』と『国富論』についての参考書です。

アダム・スミスといえば「神の見えざる手」で有名です。

しかしこの「見えざる手」が通俗的な理解では誤解されているというのがこの本で学ぶことができる最大のメリットです。

アダム・スミスが『国富論』で本当に言いたかったのは何だったのか。それをこの本でじっくりと見ていくことになります。

マルクス・エンゲルス『聖家族』~青年ヘーゲル派とブルーノ・バウアーへの批判が書かれた2人の初めての共同作品

この作品はマルクスとエンゲルスの初めての共同作品になります。

マルクスとエンゲルスは1844年8月にパリで対面し、その時から生涯続く友情が始まっていきます。

元々、ブルーノ・バウアーとマルクス・エンゲルスはベルリンで「ドクトルクラブ」という知識人グループで一緒に活動していた仲間でした。

そんな元同窓であるマルクス・エンゲルスがブルーノ・バウアーとの決別の姿勢を示したのがこの作品になります。

マルクス『ヘーゲル法哲学批判序説』概要と感想~「宗教はアヘン」はどのような意味なのか

私たちは「宗教はアヘン」と聞くと、何やら宗教が人々を狂わせるかのような意味で受け取りがちです。ですがそういうことを言わんがためにマルクスは「宗教はアヘン」と述べたわけではないのでした。

この記事ではそんな「宗教はアヘン」という言葉はなぜ語られたのかということを見ていきます。

「宗教はアヘン」という言葉は僧侶である私にとって非常に厳しいものがありました。なぜマルクスはそのように語ったのか、何を意図して語っていたのかを知れたことはとても大きな経験となりました。

エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』~『共産党宣言』『資本論』に大きな影響を与えた若きエンゲルスの代表作

エンゲルスはドイツの綿工場経営者の御曹司として生れました。

その商人修行の一環としてエンゲルスは1843年からイギリス、マンチェスターで過ごすことになります。

父の経営するマンチェスターの工場で見習いをしながら、そこに暮らす労働者たちの地獄のような生活を目の当たりにします。

そこでの経験をまとめ、労働者の実態と資本家たちの横暴を告発したものが本書、『イギリスにおける労働者階級の状態』になります。

カーライル『過去と現在』あらすじと感想~『共産党宣言』に巨大な影響!マルクスの「現金勘定」はここから!

『「現金勘定」以外のどんなきずなをも残さなかった』

この強烈な言葉はマルクスが資本主義の仕組みを痛烈に批判した言葉としてよく知られていますが、実はこの言葉はすでにカーライルが『過去と現在』の中で述べていた言葉だったのです。

今回の記事ではその『過去と現在』からマルクス・エンゲルスに大きな影響を与えたであろう箇所を2つ紹介していきたいと思います。

フォイエルバッハ『キリスト教の本質』~マルクスに強い影響を与えた作品!「人間が神を作った」と主張するフォイエルバッハ

フォイエルバッハはドイツの哲学者で、若きマルクスが強烈な影響を受けた哲学者として知られています。

「宗教はアヘン」というマルクスの有名な言葉はこのフォイエルバッハから着想を得ています。マルクスの唯物論の基礎を作った人物こそこのフォイエルバッハと言えるかもしれません。

本作の『キリスト教の本質』ですが、読んでいて驚くほど真っすぐにキリスト教を批判しています。それも単に教会への批判というよりも、もっと根源的に宗教そのものに切り込んでいく考察がなされています。

(69)レーニン・スターリンのマルクス主義について考える~マルクス・エンゲルスは有罪か?

さあ、いよいよ本書の総まとめに入ります。

著者は本書の冒頭で、近年世界中でマルクスの再評価が進んでいる一方、ソ連や中国などの共産国での恐怖政治の責任がエンゲルスに押し付けられているという風潮を指摘していました。

そうした風潮に対し、「エンゲルスは本当に有罪なのか?」ということを検証するべくこの本ではマルクス・エンゲルスの生涯や思想背景を追ってきたのでありました。

この記事ではそんなマルクス・エンゲルスに対する私の思いもお話ししていきます。

トルストイ復活

トルストイ『復活』あらすじと感想~カチューシャ物語としても有名なトルストイ晩年の大作

この作品は富裕な貴族ネフリュードフ侯爵と、かつて彼が恋して捨てた小間使いの女性カチューシャをめぐる物語です。

この作品はロシアだけでなく世界中で大反響を巻き起こし、トルストイの名を不朽のものにしました。

『復活』はとにかく宗教的で道徳的です。そして社会改良のための批判を徹底的に繰り返します。

そうした高潔な宗教的な信念が劇的な物語と絡み合いながら語られるところに『復活』の偉大さがあるように感じました。

トルストイ『シェイクスピア論および演劇論』概要と感想~シェイクスピアを心底嫌ったトルストイ。その理由とは

この論文はシェイクスピア嫌いとして有名なトルストイがその理由を上下二段組で50ページほどかけて延々と述べていくという、ある意味驚異の作品となっています。

私はトルストイと反対にシェイクスピアが大好きですので、これは逆に気になる問題でもありました。「シェイクスピアの何が気に入らないんだろう。こんなに面白いのに」と思わずにはおれません。

この記事ではトルストイがなぜシェイクスピアを嫌うのかということをじっくりと見ていきます。