ジョナサン・ビーチャー『シャルル・フーリエ伝 幻視者とその世界』~フーリエのおすすめ伝記!

この作品は通俗的に書かれたものではなく、学問的研究にもたえうるものとなっています。かといって学術的すぎて一般読者にはさっぱりわからないという類の本でもありません。

私自身、楽しみながら読むことができましたし、意外な事実に驚くことが何度もありました。特にマルクスを学ぶためにフーリエを読もうとしていた私でしたが、ドストエフスキーとの関係性には何度も驚かされました。

この本では直接ドストエフスキーについての言及はありませんが、読んでいてドストエフスキーがフーリエのどこに惹かれたのかが何となく見えてくるような気がしました。

石井洋二郎『科学から空想へ よみがえるフーリエ』~ユートピアを描いた有名な空想的社会主義者フーリエとは

フーリエについての参考書はほとんどなく、私達が手に取れるものは限られています。ですがその中でもまず入門として読むにはこの本はおすすめです。フーリエ自身が非常に難解な人物でありますので、この本の内容でも難しい部分があるのですが、それでも全体図を知るにはありがたい1冊だと思います。

鹿島茂『渋沢栄一』~サンシモン主義と強いつながり!大河『青天を衝け』でもお馴染み!日本経済を支えた偉人のおすすめ伝記!

もし日本に渋沢栄一がいなかったらどんなことになっていたのか。この伝記を読めばぞっとするような事実を知ることになります。それほど渋沢栄一という存在は巨大だったのです。私もこの伝記を読んで心の底から衝撃を受けました。

現代日本はまさに危機の時代だと私は思います。こんな時代だからこそ、渋沢栄一という人物の成した軌跡を辿るのは非常に大切なことなのではないでしょうか。

この伝記はぜひぜひおすすめしたい名著です。学校の教科書になってほしいとすら思える作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

サン・シモン『新キリスト教』概要と感想~教会への鋭い批判と理想世界の構築を説くサン・シモンの絶筆

神の教えを信じ、社会福祉の向上を目指す道徳的な産業者が世を導いていく。これがサン・シモンが目指す理想社会でした。

サン・シモンはこの作品で教会批判や持論を展開し続けます。驚くような発想も何度も出てきますし、現代を生きる私たちですら唸らせるような言葉が出てきます。

マルクス・エンゲルスによって空想的社会主義者のレッテルを張られたサン・シモンですが、非常に興味深い思想家でした。

サン・シモン『産業者の教理問答』概要と感想~空想主義的社会主義者の一人サン・シモンの主著

「世の中は生産者、つまり産業者によって成り立っている。だからこそ産業者の地位が認められなければならない。」

産業者こそ世界を担っていくのだという思想は後の弟子たちに引き継がれ、1852年からのナポレオン三世第二帝政期ではその思想が花開くことになります。

そうした意味でも「産業者こそ世を作るのだ」と宣言したこの著作は大きな意味があります。

トルストイの妻ソフィア夫人は本当に悪妻だったのか?トルストイ最後の家出について考える

トルストイの妻ソフィア夫人はよく「世界三大悪妻」のひとりとして紹介されることがあります。

ですがこれまでトルストイ作品、伝記、参考書を読んできてやはり思うのは、「ソフィア夫人は本当に悪妻だったのか?トルストイの方にも原因があったのではないか?」ということです。

そしていざ調べてみると驚きの事実を知ることになりました。

トルストイ晩年は私たちの想像をはるかに超えるほどの悲劇だったのです。

G・ステイナー『トルストイかドストエフスキーか』~ロシアの二大文豪の特徴をわかりやすく解説した名著!

「トルストイかドストエフスキーか」。両方はありえない。 このことはこれまでトルストイ作品を読んできて強く感じたことでしたがこの作品はそのメカニズムを見事に解明してくれる名著です。

いやぁ~、とにかく面白い!この本はものすごいです!これはぜひともおすすめしたい作品です!

トルストイとドストエフスキーの特徴が非常に鮮明に見えてきます。ぜひぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。ドストエフスキーが好きな人はドストエフスキーを、トルストイが好きな人はもっとトルストイを好きになることでしょう。

「マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ」記事一覧~マルクスは宗教的な現象なのか、時代背景と思想形成から考える

今回の記事では「マルクスとエンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ」シリーズと題して紹介してきた全69回の記事をまとめていきます。

これらを読めばマルクスとエンゲルスの思想が生まれてきた背景をかなり詳しく知ることができます。 そしてこれはマルクス・エンゲルスを知るだけではなく、宗教、思想、文化、政治、いや人間そのもののあり方についても大きな示唆を与えてくれることでしょう。

関連記事も合わせると70記事以上の大所帯になりますが、このシリーズの目次としてこの記事を利用して頂けましたら嬉しく思います。

エンゲルスの代表作『空想より科学へ』~マルクス主義の入門書としてベストセラー!マルクス主義は宗教的現象か

難解で大部な『資本論』と、簡単でコンパクトな『空想から科学へ』。

この組み合わせがあったからこそマルクス主義が爆発的に広がっていったということができるかもしれません。

「マルクスは宗教的な現象か」というテーマにおいてこの記事では私の結論を述べていきます。エンゲルスはこの作品においてとてつもないことを成し遂げました。

この作品はマルクス思想を考える上で『資本論』と並んで決定的な意味を持つ作品です。ぜひ読んで頂きたい記事となっています

エンゲルス『反デューリング論』概要と感想~マルクス主義伝播に巨大な影響を与えたエンゲルスの代表作

『反デューリング論』はマルクス主義の重要解説書として非常に重視されてきました。マルクスの著作、特に『資本論』は膨大で難解過ぎました。そんな書物のエッセンスを抽出し、マルクス主義をわかりやすく解説したものとして出版されたのがこの本です。

たしかにこの本は読みやすいです。

超難解な『資本論』に対してこうしたわかりやすくてドラマチックな物語が書かれた『反デューリング論』という存在があったことがマルクス主義の伝播にどれほど役に立ったかは計り知れません。