秋島百合子『蜷川幸雄とシェークスピア』~蜷川演出のシェイクスピア舞台がまとめられたおすすめ本

この本は蜷川幸雄さんが演出したシェイクスピア作品を解説と共に見ていく作品です。

作品ごとのエピソードもとても興味深く、実際にその舞台を観たくなってきます。演劇制作の奥深さやシェイクスピア作品の面白さをこの本では知ることができます。

私も今DVDで蜷川さん演出のシェイクスピアを少しずつ観ています。ものすごく面白いです。生で観てみたかったなあと心の底から思います。

そんな蜷川さんのシェイクスピアを概観できるありがたい一冊です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

(7)客だらけのドストエフスキー家の家庭状況と新婚早々親類からの嫁いびりに苦しむアンナ夫人

これまでドストエフスキーの経済状況、持病のてんかんと彼の抱える問題を見てきましたがその最後に彼の家庭環境を見ていきます。

実はアンナ夫人の新婚生活にとって最も苦しかったのがこの家庭環境だったのでした。

嫁いびりといえばよくあることのように思えてしまうかもしれませんがそこはあのドストエフスキー家です。やはり一筋縄ではいかない苦難をアンナ夫人は味わうこととなりました。

(6)ドストエフスキーが生涯苦しんだ持病てんかんの発作を目の当たりにするアンナ夫人

前回の記事ではドストエフスキーの経済状況についてお話ししましたが、彼の抱えていた問題は借金だけではありませんでした。

ドストエフスキーのてんかんは彼の代表作『白痴』の主人公ムイシュキン侯爵や『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフを通して描かれています。特に『白痴』はアンナ夫人とのヨーロッパ旅行中に執筆されたものであることも意味深いです。ドストエフスキーは常にてんかんの発作に怯えて生きていかなければならなかったのでした。

蜷川幸雄『身体的物語論』~現代の若者やその時代について巨匠は何を思うのか。演劇を通して見た私たちへの提言

「演劇に詳しい人、親しんでいる人をメインターゲットにした「身体論」ではなく、演劇をふだんあまり見ない人にも蜷川さんの演劇がいかに日本人や時代を捉えているか読んでいただきたい」

本書でこう述べられるように、専門家が語る哲学論ではなく、普段演劇に親しまない方にも気軽に読めるようにとの思いでこの本は作られています。

たしかにこの本を読んでみても、難しい専門用語や哲学議論は出てきません。ひとつひとつの話が身近かつ具体的でとてもわかりやすいです。

蜷川さんから見た私達現代人はどんな存在なのか、興味深いお話満載です

(5)結婚初期のドストエフスキーの危機的な経済状況~なぜ彼はいつまでも貧乏なままだったのか

前回の記事で見たように、めでたく結ばれた二人は翌1867年2月15日に結婚式を挙げ、同居をスタートします。

ですが案の定と言うべきか、幸せいっぱいに思われた新婚生活は問題が山積みでした。

この記事ではそんな二人の第一の問題である経済状況を見ていきます。この経済問題があったからこそ二人は後に西欧へと旅立たねばならなくなってしまったのです。

(4)文豪ドストエフスキーの一風変わったプロポーズ!アンナ夫人に小説仕立ての愛を告白したドストエフスキーの大勝負!

『賭博者』の執筆は順調に進み、期限までに完成することになります。

しかし、この仕事が終わってしまえばもう二人は今までのように会うこともなくなってしまいます。せっかく恋が芽生え始めたのにそれも終わってしまうのか・・・

さあ、どうするドストエフスキー!

そしてついに、彼は一世一代の大勝負に出ます。

・・・プロポーズだ!

そしてこのプロポーズが何ともドストエフスキーらしくてたまらない。

この記事では文豪ドストエフスキーの一世一代のプロポーズを紹介します。ぜひ彼のプロポーズを皆さんも見届けてください。

『蜷川幸雄の稽古場から』~若手俳優から見た蜷川幸雄の人間性、仕事とは。現場の戦いを知れる名著!

彩の国シェイクスピア・シリーズは元々、蜷川幸雄さんが舞台演出を務めていました。そして現在、その役を吉田鋼太郎さんが引き継いで上演を続けています。

私は去年見た『ヘンリー八世』に引き続き、このシェイクスピア・シリーズに大感動してしまいました。「こんな素晴らしい舞台を作っている人たちはなんとすごいのだろう!もっともっと舞台について知りたい!」と私は思ったのでありました。

そんな私にとってこのシェイクスピア・シリーズを導いてきた蜷川さんの仕事ぶりを知れるこの作品は最高の逸品でした。

(3)ドストエフスキーとアンナ夫人の恋のはじまり~『賭博者』口述筆記の共同作業を通して急接近する2人

前回の記事ではドストエフスキーとアンナ夫人の出会いをお話ししました。

今回の記事ではそんな2人の恋の始まりについてお話ししていきます。

「・・・いつになったらあなたの旅行記は始まるんですか?」

まあまあ、まずは2人の馴れ初めから結婚までゆっくり見ていこうではありませんか。その方が必ずや旅の空気というものが伝わるというもの。今しばらくお付き合い願います。

では、始めていきましょう。

(2)ドストエフスキーとアンナ夫人との出会い~絶望的な状況で始められた『賭博者』の口述筆記

今回の記事ではいよいよ今回の物語の主人公であるドストエフスキーとその妻アンナ夫人の出会いについてお話ししていきます。

二人が出会ったのは1866年の10月のこと。ドストエフスキー45歳、アンナはなんと20歳の年でした。この時彼女は速記の講義に通う学生だったのです。

なぜこうも年の差ある二人が出会うことになったのか。まずはアンナ夫人の声を聞いていくことにしましょう。

長谷部浩『権力と孤独 演出家蜷川幸雄の時代』~世界のNINAGAWAのおすすめ伝記!

この本はシェイクスピア作品の演出を数多く手掛けた蜷川幸雄の伝記です。前回の記事で紹介した『千のナイフ、千の目』では蜷川さんの若き日が自伝的に語られていましたが、この作品ではその生涯全体を知ることができます。

私はシェイクスピアの演出から蜷川幸雄さんに興味を持ったのですが、そのシェイクスピア演出についてもたくさん語られており私も大満足でした。

また、若手を育てようという蜷川さんの熱意。そして藤原竜也さんがいかに規格外の役者だったのかも知ることになりました。

ものすごく面白い本です。ぜひぜひおすすめしたい作品です。『演出術』と合わせて手に取ってみてはいかがでしょうか。