高橋健二編訳『ゲーテ格言集』~ドイツ大詩人の珠玉の言葉を堪能!「さすがゲーテ大先生!」と唸りたくなる一冊

なんとこの本は127刷を超える大ベストセラーとなっています。これは確実に『ファウスト』よりも多くの人に読まれているでしょう。

これだけ多くの人の手元に届いたということはやはりゲーテの言葉に魅力があるからこそでしょう。しかも長編作品と違ってこちらは格言集。読んでいくにも非常に手軽です。ひとつひとつの短い文章を自分のペースでじっくり味わうことができます。

ぜひ、偉大なる万能の詩人ゲーテの言葉に触れてみてはいかがでしょうか。その言葉は、必ずや私たちの力になってくれることでしょう。

(34)サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂を訪ねて~ベルニーニのライバル、ボッロミーニの傑作建築!

前回の記事ではベルニーニの傑作建築サンタンドレア・アル・クイリナーレ聖堂を紹介しましたが、実はその聖堂から150メートルほどの距離にベルニーニのライバル、ボッロミーニの傑作建築が立っています。

ボッロミーニはベルニーニとは真逆の性格、作風の持ち主でベルニーニ失脚の折には激しいバトルを演じた男でもあります。ですがその才能は紛れもなく突出しており、鬼才というにふさわしい独創性に溢れた建築家でした。そんなボッロミーニの傑作とベルニーニの傑作がほぼ隣通しに立っているというのは奇跡というほかはないでしょう。

正直、インパクトという面ではベルニーニのサンタンドレア・アル・クイリナーレを超えています。何かよくわからないがものすごいパンチ力で一撃必殺されるような感覚。それがこの聖堂です。

(33)サンタンドレア・アル・クイリナーレ聖堂を訪ねて~ベルニーニのパンテオンたる、建築の最高傑作!

ここはローマ観光におけるメインルートには設定されない教会だと思います。パンテオンやコロッセオや真実の口など、ローマにはそれこそ名所中の名所が山ほどあります。それら名所中の名所を回るだけで日程が終わってしまうのも無理はありません。ですがこのサンタンドレア・アル・クイリナーレ聖堂はものすごい場所です。マニアックと言えばマニアックかもしれませんがぜひここも訪れてみてほしいです。本当にここにパンテオンがあるのです。しかも困難な条件の下でそれを成し遂げてしまったという驚異の建築なのです。ローマ滞在の折にはぜひベルニーニの最高傑作を皆さんにも味わってほしいです。驚愕すること間違いなしのすばらしい聖堂です。

私はこの聖堂に一瞬で魅了され、ローマ滞在中4度ここを訪れ、その度に感嘆していました。

松村昌家編『『パンチ』素描集 19世紀のロンドン』~風刺絵で見る産業革命のロンドン!マルクス・エンゲルスは何を見た?

この作品は19世紀、産業革命下のロンドンの姿を知るのにうってつけの作品です。

この作品の特徴は何と言っても多数の風刺画を見ていける点にあります。『パンチ』誌は当時のイギリスの生活を鋭く風刺し、社会批評をしていきます。

当ブログではこれまでマルクス・エンゲルスについても学んできましたが、彼らのイギリス生活や思想背景を知る上でもこの作品はありがたいものがありました。

(32)イエズス会総本山ジェズ教会と創始者イグナティウス・デ・ロヨラの『霊操』の瞑想法を彫刻に取り入れたベルニーニ

今回の記事ではベルニーニの芸術に大きな影響を与えたイエズス会の創始者イグナティウス・デ・ロヨラの『霊操』の瞑想と総本山ジェズ教会についてお話ししていきます。

あのザビエルが所属していた修道会がこのイエズス会です。そして私も学んでいて驚いたのですが、イエズス会ができたのはなんと1534年のことで、ローマ教皇パウルス五世に正式に認可されたのが1540年という割と最近の話だったのである。ザビエルはその創設メンバーの一人だった。イエズス会というと、植民地戦略や政治的な面をイメージしてしまいがちですが、実は瞑想や宗教的実践を強く重んじていた側面もありました。そしてベルニーニはまさにそうした宗教的実践を重んじ日々生活していて、それが作品に顕著に表れていたのでした。これは非常に重要なポイントであると私は思います。

(31)サンタ・マリア・デル・ポポロ教会のダニエルとハバククの像~ベルニーニの神秘性と古代ローマのインスピレーション

この記事ではポポロ広場にあるサンタ・マリア・デルポポロ教会内キジ礼拝堂に納められたベルニーニ作『ダニエル』と『ハバクク』についてお話ししていきます。

この教会自体はベルニーニよりもカラヴァッジョの絵画で有名ですが、ここもベルニーニ巡礼には欠かせません。

『ダニエル』、『ハバクク』は後期ベルニーニの熟練の技と神秘表現がいかんなく発揮された作品です。彼の後期作品の特徴を知る上でもこれらの作品は非常に重要なものとなっています。

吉田量彦『スピノザ 人間の自由の哲学』~スピノザの生涯や時代背景も知れるおすすめ入門書!

著者の吉田氏の語り口は非常にわかりやすく、親しみやすいです。読んでいて、面白い授業を聴いているかのような雰囲気です。

スピノザというと難しいイメージがあるかもしれませんが、この本ではそこまでややこしいことは説かれません。彼の生涯や時代背景を通して彼が何を言わんとしていたのか、彼は何と戦っていたのかがわかりやすく解説されます。

これはぜひぜひおすすめしたい名著です。私もこの本にはとても助けられました。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

(30)新たなパトロン教皇アレクサンデル七世の登場!ベルニーニ第二の黄金期を支えた建築教皇の存在!

教皇イノケンティウス十世が亡くなり、その後を継いだアレクサンデル七世というのがこれまたスケールの大きな人物でした。この人物の登場によりベルニーニは第二の黄金期を迎えることになります。

これから先の記事ではキジ礼拝堂やサンピエトロ広場、サンピエトロ大聖堂の『カテドラ・ペトリ』と『スカラ・レジア』、サン・タンドレア・アル・クイリナーレなどベルニーニの傑作を紹介していきます。

(29)ベルニーニ『マリア・ラッジの墓』~サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会の独特な大理石彫刻

「彫刻」と言うにはあまりに独特な姿の『マリア・ラッジの墓』。この作品があるサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会はパンテオンからすぐ近くの場所にあります。私もパンテオンとセットでこの教会を見学しました。

それにしても独特。この作品が本当に石でできた彫刻なのかと驚きました。色もそうですが波打つような質感には開いた口が塞がりません。大理石で波打つ衣を表現するというその発想力!人間の彫刻において衣の質感を追求するというのはよくあることです。しかし布そのものを主役にして作品を作ってしまおうという大胆さには脱帽です。色の組み合わせもベルニーニらしさを感じる素晴らしい作品です。

パヴロフ

『オックスフォード 科学の肖像 パヴロフ』「条件反射」やパヴロフの犬で有名なロシアの偉大な科学者のおすすめ伝記!

「条件反射」や「パブロフの犬」といえば現代の脳科学や神経の研究とも直結してくる内容です。ですのでもっと最近のものであったり、イギリスやドイツ辺りで研究されていたものとすっかり思い込んでいました。

それがまさか19世紀のロシアだったとは!

ドストエフスキーやトルストイが科学をほとんど感じさせない心理的、宗教的著作を描いていたまさにその時、パヴロフが科学的研究に勤しんでいた・・・

これはロシア文学のことだけを考えていると、正直なかなかイメージできないものがありました。そういう意味でこの伝記は当時のロシアを科学といういつもとは違った切り口から見ることができたありがたい作品でありました。