インド神話物語百科

M・J・ドハティ『インド神話物語百科』~ヒンドゥー教の大枠や時代背景を知れるおすすめ解説書!

この本を読んでいると、ヒンドゥー教の死生観や来世観についても知ることになります。当時の時代背景と絡めながらそれらのことを考えていくと、仏教というものがまさに「インドの文脈」から生まれてきたのだということを強く感じることになりました。

仏教の思想やそこで使われる用語、概念がまさにヒンドゥー教の世界から生まれてきたのだということを改めて実感したのです。仏教から遡りインドの歴史や文化を知ることで見えてくるものがある。それを確信した読書になりました。これは面白いです。仏教に対する新たな視点をくれる素晴らしい作品だと思います。

ヒンドゥー教

森本達雄『ヒンドゥー教―インドの聖と俗』~インド入門におすすめ!宗教とは何かを考えさせられる名著!

謎の国インド。同じアジアでありながら異世界のようにすら思えてしまうインドについてこの本では楽しく学ぶことができます。著者の語りもとてもわかりやすく、複雑怪奇なインド世界の面白さを発見できます。「なぜインドはこんなにも独特なのか」ということを時代背景と共に知ることができますのでこれは興味深いです。

これは面白い本でした。どんどんインド沼にはまりつつある自分を感じています。

ぜひぜひおすすめしたい一冊です。

ギリシア悲劇

丹下和彦『ギリシア悲劇』~ギリシア悲劇の奥深さを学べるおすすめ入門書

この作品ではギリシア悲劇の起源やその流れをまず序章で学ぶことになります。

そこから時代順に、アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスというギリシア悲劇の重鎮たちの作品を通してその奥深さを考察していく流れになります。時代を経ていくにつれて悲劇の内容がどう変わっていったのかが非常にわかりやすく説かれているのでこれはとてもありがたかったです。

名前は知っていてもなかなかその中身までは知らないギリシア悲劇。そのギリシア悲劇の奥深さを知れるおすすめの入門書です。

有閑階級の理論

ヴェブレン『有閑階級の理論』~富や欲望、人間心理の秘密を赤裸々に暴露!爆弾発言満載の名著!

「この本を読んだ人は、モノの消費をこれまでと同じように見ることはできまい。」

まさにその通り!この本では「それを言っちゃあおしめぇよ」と思わず言いたくなる赤裸々な爆弾発言がどんどん出てきます。ですがよくよく考えてみると、「うん、たしかにヴェブレンの言う通りかもしれない・・・」と頷かざるをえない気持ちになってきます。

この本ではとてつもなく刺激的な言葉がどんどん出てきます。これはぜひ読んで体感してみてくださいとしか言いようがありません。ぜひヴェブレンの爆弾発言を堪能して頂けたらと思います。

宇沢弘文を通してこの本と出会えたのは本当に嬉しいものがありました。私の中でも強烈なインパクトを残した作品でした。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

ことばと呪力

川村悠人『ことばと呪力 ヴェーダ神話と解く』~意外と身近な「ことば」の力とは?私達の日常とも繋がる発見が満載!

『「専門知を一般へ」という標語のもと、できるだけわかりやすいことばで書いています。』という言葉通り、この本はとても読みやすいです。

そしてこの本で特に面白いなと思ったのが時折出てくる漫画のお話です。特に週刊少年ジャンプの『BLEACH』と絡めて古代インドが語られるのはものすごく面白かったです。私もこの漫画が好きで、「おぉ!あれはそういうことだったのか!」とわくわくしながら読みました。他にも私たちに身近な例をいくつも示して下さるので、遠い世界だと思っていた古代インドがとても親しみ深く感じられてきます。

ことばというものを改めて考えてみるきっかけとしてこの本は非常に素晴らしいものがあると思います。そして普段接することのない古代インドの歴史や文化も楽しく学べるありがたい作品です。

インダス文明

上杉彰紀『インダス文明 文明社会のダイナミズムを探る』~謎多き古代インドの複雑さを学べる参考書

私たちは「インドで仏教が生まれた」というと、何か新しいものが独立して生まれてきたという風に考えてしまいがちです。

ですが実際にはそうではなくインダス文明、いやさらに言えば世界の歴史と密接に絡み合って仏教は生まれてきました。

私もこうしてインダス文明を学ぶまでは仏教とインダス文明というものをつなげて考えるということにはほとんど意識が向いていませんでした。

ですがこの本を読んで改めて人類の歴史の壮大さ、ダイナミズムを感じることになりました。やはりインドは面白い!

謎多きインダス文明の様々な姿を知れる面白い作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

社会的共通資本

宇沢弘文『社会的共通資本』~コモンズをいち早く提唱した日本を代表する経済学者の提言!

この本は2000年に出版されたものです。今や2023年、宇沢弘文が見た世界よりももっと世の中は悪くなっているように私は感じます。もし今宇沢弘文が生きていたなら何と言うのでしょうか。これは私にとっても考えるべき大きな問題だと思います。

行き過ぎた資本主義を反省し、社会的共通資本の見直しを図ること。この本を読めばこれが急務であることがよくわかります。どれだけ今が危機的な状況なのかということを考えさせられます。

日本を代表する経済学者のこの提言はあまりに貴重だと思います。

この本からいきなり読み始めるのは少し厳しいかもしれないので、佐々木実著『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』から読み始めるのをおすすめします。

インダス

『NHKスペシャル 四大文明 インダス』~貴重な写真や図版多数!入門書におすすめ!

この本はNHKスペシャルの取材が基になった作品で、インダス文明のおすすめの入門書となっています。

この本ではドービードーラーという当時発見されたばかりの貴重な遺跡や、インダス文明全体の貴重な写真や図版がたくさん紹介されています。また、普段私たちがなかなか触れることのない古代インドの世界をわかりやすく解説してくれます。私はこの本がインダス文明の本では一番最初に読んだ本でしたが、スムーズに読んでいくことができました。入門書として非常にクオリティーの高い逸品です。

自動車の社会的費用

宇沢弘文『自動車の社会的費用』~日本の自動車産業の構造と環境問題に切り込んだ、今だから読みたい名著!

この本はまず一般読者に対して書かれたものであり、専門書ではありません。多くの人に現在の経済の問題について考えてもらいたいという願いがこの本に込められています。だからこそ難しい経済理論を語るのではなく、まずは自分自身の身近な問題として考えられるような話題を選んで宇沢弘文は語ります。

この本が出版されたのは今からおよそ50年前の1974年です。

その時点で資本主義に対してここまでの提言がなされていたことに驚くしかありません。

資本主義への批判はマルクス主義が全盛だった時代において、そうではなく経済学の内側から批判を続けていた宇沢弘文。

ますます宇沢弘文という人物に興味が湧いてきた一冊となりました。

われらの子ども

R・D・パットナム『われらの子ども—米国における機会格差の拡大』~教育格差と家庭環境について学ぶのにおすすめの参考書!

かつてアメリカには「アメリカン・ドリーム」があった。個人の才能と努力で人生は変えられる!夢を掴める!

しかしそれも今は昔。今や貧しい階級に生まれた子どもにはそんな社会的上昇は望むことができなくなってしまった。それはなぜなのか、今アメリカで何が起きているのかを見ていくのが本書になります。

そしてこの現在の「悪夢」を見ていくことでかつての「アメリカンドリーム」の背景も見えてくることになります。

私も「教育」の問題について非常に強い関心があります。最近地元の学校に携わることも増えてきた中でそのことは特に私の中でも大きな問題となっています。子どもたちの教育を考える上でもこの本は重大な問題提起となっています。ぜひおすすめしたい一冊です。