A・C・クラーク『スリランカから世界を眺めて』~『2001年宇宙の旅』で有名なSF作家のスリランカ愛を知れるエッセイ集
アーサー・C・クラークはスタンリー・キューブリックと共にあの『2001年宇宙の旅』を手掛けたSF界の巨匠です。
そのアーサー・C・クラークがなっとスリランカを愛し、スリランカへの想いを述べたエッセイを書いていた!
それを知った私は迷うことなくこの一冊を手に取ったのでありました。
アーサー・C・クラークはスタンリー・キューブリックと共にあの『2001年宇宙の旅』を手掛けたSF界の巨匠です。
そのアーサー・C・クラークがなっとスリランカを愛し、スリランカへの想いを述べたエッセイを書いていた!
それを知った私は迷うことなくこの一冊を手に取ったのでありました。
『セレンディップの三人の王子たち』はセレンディピティの語源となった物語として知られています。
「求めてもいないものを偶然と英知で発見してゆく」
これがセレンディピティという言葉の意味になります。
そして意外なことに、本書『セレンディップの三人の王子たち』自体はスリランカで語られたものではなく、ペルシアで語られていたスリランカのおとぎ話になります。あくまでスリランカは王子たちの出身国でその舞台になったというのにすぎません。ですが当時のペルシア人からしてもスリランカには何かそうした憧れや楽園的なものを想像させるものがあったのでしょう。
有名なセレンディピティという言葉の大元となった作品を読めるというのはなかなかに刺激的な体験です。
本書はこの記事のタイトルにありますように意外な切り口から語られるスリランカを知ることができます。目次にある「カシューナッツの流通学」「漱石のカレー学」「カラスの生態学」など、パッと見ただけでは「これのどこがスリランカ?」と思ってしまうかもしれませんがこれが見事にスリランカ世界を知る手掛かりとなるのですからお見事としか言いようがありません。ものすごく面白いです。
本作の著者ロバート・ノックス(1641-1720)はイギリス東インド会社の貿易船の船員でした。彼の乗る船はインド洋航海中に嵐に遭い、セイロン島(スリランカ)に1660年に寄港しました。そこから彼らはおよそ20年にわたってスリランカ中央部のキャンディ王国の捕虜として生活することになります。
キャンディ周辺は単に高地であるだけでなく、深いジャングルに覆われており移動は極めて困難でした。いわば陸の孤島です。そんな脱出困難な状態から命からがら20年をかけて脱出したノックスの体験が綴られたのが本書『セイロン島誌』になります。
今作『大唐西域記』はあの『西遊記』のモデルとなった作品です。
「三蔵法師=玄奘」というくらい日本で有名な高僧ですが、彼が世界的に有名になったのは三蔵(経、律、論という経典群)を求めて中国からはるばるインドへ旅し、大量の経典を無事中国へもたらしたという偉業にありました。
本作『大唐西域記』はそうした玄奘の旅路が記された書物になります。
ただ、この本を読み始めてすぐに気づくのですが、その語りがあまりに淡白・・・
私達がイメージする刺激的な冒険譚とはかなり趣が異なるのです・・・
今回私が法顕のこの作品を読もうと思ったのは、彼が400年代初頭にスリランカを訪れていたということに興味を持ったからでした。
『法顕伝』は非常に簡潔に書かれていながらも彼の人柄が見えてくるような素晴らしい紀行文です。前半の壮絶な旅路を終えると、今度は私達もよく知るインドの仏跡がどんどん出てきてわくわくしてきます。
法顕の旅は10年以上にも及ぶ長旅でした。帰国した頃にはほとんど80歳という驚異のバイタリティーです。信じられません!やはり世界史に名を残す偉人はスケールが違います。
本書では1983年から2009年にかけて起きたスリランカでの内戦が終わってから2016年までの政治状況を知ることができます。
特に、本書の主要人物であるラージャパクサ大統領はほとんど独裁レベルで国を支配した政治家でその一族や側近は莫大な富と権力を手にすることになりましたが、この人物についての詳しい解説を聴けるのはとてもありがたいものがありました。まさにこの人物こそ2022年のスリランカの暴動で国外逃亡することになったあの人物です。ニュースでも2022年のスリランカの暴動はよく取り上げられていたことを私も記憶しています。
なんとかスリランカ最新の状況を知ることができないか。2022年の経済危機と暴動は何だったのか。中国の一帯一路はどうなっているのか、インド、アメリカ、日本との関係はどうなっているのか。
インドと違ってスリランカの最新情勢が書かれた本というのはなかなかありません。というより、ほとんど見かけません。
そんな中ようやくヒットしたのが本書『ARCレポート スリランカ2023/2024』でした。
タイトルの通り、まさに最新の最新。2023年版のスリランカの政治経済の報告書が本書になります。
本書『内戦後のスリランカ経済』は内戦後の経済に特化して学ぶことができます。これまでもスリランカについて様々な本を読んできましたが経済に特化した本というのは初めてで、私にとってもものすごく新鮮でした。
私はこれからスリランカを実際に訪れる予定ですが、この本で書かれていた様々な事例を目で見てきたいと思います。
スリランカを新たな視点で見れた本書には大感謝です。とても刺激的な一冊でした。ぜひ皆さんも手に取ってみてはいかがでしょうか。
本書はマックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で説かれたような定説を覆した歴史学の金字塔的名著として有名な作品です。
この本のメインテーマはまさに「奴隷貿易と奴隷制プランテーションによって蓄積された資本こそが、産業革命をもたらした」という点の論証にあります。
本書もまさに巨大なスケールで歴史の流れを見ていく刺激的な作品でした。
改めて世界の複雑さ、巨大さを実感した読書になりました。
私たちの先入観を破壊する超ド級の作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。