2022年12月

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

S・マッケイ『ドレスデン爆撃1945 空襲の惨劇から都市の再生まで』~ドイツの美しき古都が消滅した悲惨な爆撃とは

エルベ河畔の宝石箱と謳われたドレスデン。この本ではその古都への爆撃について詳しく語られます。

ドレスデンが爆撃されるまでの英米首脳部の葛藤、兵士たちの精神状況、そしてドレスデンに生きていた人たちの生活。そして爆撃が始まってからの地獄絵図・・・

これは恐るべき作品です。

正直、私は怖いです。歴史を学べば学ぶほど恐怖を感じています。この先、私たちの生きる世界がどうなるのか、改めてこの本を読んで恐れを感じたのでありました。

原爆や大空襲を経験した日本にとってもこの本で提起されている問題は重要な意味を持っているのではないでしょうか。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(8)パリのゾラ『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地を一挙紹介~フランス第二帝政のパリが舞台

今回の記事では私が尊敬する作家エミール・ゾラの代表作『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地を紹介していきます。

『ルーゴン・マッカール叢書』はとにかく面白いです。そしてこの作品群ほど私たちの生きる現代社会の仕組みを暴き出したものはないのではないかと私は思います。

ぜひエミール・ゾラという天才の傑作を一冊でもいいのでまずは手に取ってみてはいかがでしょうか。そしてその強烈な一撃にぜひショックを受けてみて下さい。

『居酒屋』や『ナナ』は文庫本でも手に入りますのでぜひおすすめしたいです。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

宮下規久朗『ヴェネツィア 美の都の一千年』~観光ガイドにもおすすめ!歴史と美術の流れを知るのに便利な1冊!

ヴェネツィアは言わずと知れた美の都ですよね。私も一度は訪れてみたいと思っていた場所です。

この街と文学のつながりといえばやはりシェイクスピアの『ヴェニスの商人』やトマス・マンの『ヴェニスに死す』も有名です。

そして我らがドストエフスキーもこの街を奥様と一緒に訪れていて、ヴェネツィアの美しさを絶賛しています。

そしてそんなヴェネツィアの歴史や文化を知るのに今作『ヴェネツィア 美の都の一千年』は非常におすすめな参考書となっています。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(7)パリ下水道博物館~レミゼのジャン・ヴァルジャンが踏破した怪獣のはらわたを体験!その他ゆかりの地についても

今回のパリ散策において、マニアックながらも一般の方にぜひおすすめしたいスポットがあります。

それが今回ご紹介するパリの下水道博物館になります。

私の大好きな『レ・ミゼラブル』の主人公ジャン・ヴァルジャンはこのパリの下水道を踏破しマリユスを救います。

ですが当時のパリはすさまじい悪臭と汚物の都市として知られていました。しかも下水道はほとんど迷宮と化し人が立ち入ることさえ危険な魔窟でした。ジャン・ヴァルジャンが踏破したこの闇と汚染の世界を少しでも感じられるならと私はこの博物館に向かったのでありました。

ドストエフスキー論

山城むつみ『ドストエフスキー』~五大長編を深く読み込むための鋭い解説が満載のおすすめの参考書!

五大長編を幅広い視点から深く鋭く論じていくこの作品は圧倒的です。 そして私はこの本を読んですぐに感銘を受けました。特に冒頭、二葉亭四迷がドストエフスキーやロシア文学について語った箇所があるのですがこれがもう素晴らしいのなんの。 この二葉亭四迷の言葉で始まった本書はまさにその言葉通りの姿勢が貫かれた素晴らしい作品です。

特にバフチンのポリフォニーについての解説は非常にわかりやすいです。

ドストエフスキーの解説などでよく目にする「ドストエフスキー小説はポリフォニーである」という、わかるようでわからない難しい概念が山城さんの解説によって非常にクリアになります。これはおすすめです

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(6)パリ、バルザックゆかりの地巡り~ブローニュの森、バルザックの家、ペール・ラシューズ墓地へ

この記事では『ゴリオ爺さん』で有名なフランスの文豪バルザックゆかりの地を紹介していきます。

小説中で重要な意味を持つブローニュの森、そしてバルザックの家と、彼のお墓があるペール・ラシューズ墓地を順に見ていきます。

特にバルザックの家では彼愛用のステッキやコーヒーポッドも見れて大満足でした。

ドストエフスキー論

ドリーニン編『スースロワの日記―ドストエフスキーの恋人』~ドストエフスキーのローマ滞在について知るためにも

私がこの本で注目したのはドストエフスキーのローマ滞在についてでした。

この旅で二人はパリ→バーデン・バーデン→ジュネーブ→トリノ→ジェノア→リヴォルノ→ローマ→ナポリ→リヴォルノ→トリノ→ベルリンを巡ります。

ドストエフスキーはこの旅の中でローマに立ち寄り、サンピエトロ大聖堂やコロッセオを見物しています。

ドストエフスキーがローマで何をしていたのか、スースロワとどんなやり取りをしていたのかもこの本で知ることができます。もちろん、限られた情報ではありますが貴重な情報であることに変わりはありません。

私にとってはローマとドストエフスキーを知る上で非常にありがたい1冊でした。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(5)ナポレオンの墓があるアンヴァリッドへ~知れば知るほど存在感が増すナポレオンというカリスマについて

パンテオンでルソーやヴォルテール、ゾラ、ユゴーのお墓参りをした後に私が向かったのはアンヴァリッド。ここにはあのナポレオンが葬られています。

それにしても、アンヴァリッドの堂々たる立ち姿にはため息が出るほどです。これほどの建築物がある意味ナポレオンの墓石なわけです。そう考えるとナポレオンという人物がいかに巨大な人物だったかを思い知らされます。

この記事ではそんなナポレオンについてお話ししていきます。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

南里空海 野町和嘉『ヴァチカン ローマ法王、祈りの時』~ヨハネ・パウロ2世やヴァチカンの貴重な写真が満載の一冊!

この作品では通常なかなか見ることも取材することもかなわない貴重なヴァチカンの写真を見ることができます。

私もヴァチカンについてはこれまで様々な本を読んできましたが、「祈りの時」に特化して儀式の最中の模様を取材しているこの本は非常に貴重なものだと思います。私にとってもこの作品はとてもありがたいものとなりました。

また、この作品ではヨハネ・パウロ二世の生涯についてもまとめられていて、彼がいかに突出した存在だったかがよくわかります。

解説もとてもわかりやすく、ヴァチカンやヨハネ・パウロ二世についての入門書としてもこの本は優れていると思います。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(4)パンテオンでフランス人の雄弁をからかうドストエフスキー~そして私はゾラとユゴーの墓参り

この記事ではドストエフスキーも訪れたパンテオンについてお話しします。

ここにはヴォルテールやルソーなどの哲学者やゾラやユゴーなど国民的な文学者のお墓があります。

そしてドストエフスキーは『冬に記す夏の印象』でこのパンテオンでのエピソードを記しています。これがすこぶるユーモアが効いていて面白いのでこの記事で紹介していきます。

ドストエフスキーというと暗くて厳めしいイメージがあるかもしれませんが、実は茶目っ気もある人物です。雄弁に酔いしれるフランス人とのやりとりは思わずくすっと笑わずにはいられません。