2022年4月

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

千田善『ユーゴ紛争』~ユーゴ紛争はなぜ起こったのかがコンパクトにまとめられたおすすめの参考書

この本では著者が、「旧ユーゴ崩壊から二年あまりが過ぎ、戦局は泥沼化しているが、いたずらに民族主義をあおるしか能がない各民族の指導者が、武力による支配地拡大一辺倒の対決策を繰り返してきた責任も、問われなければならない。」と93年の段階で述べているのが非常に印象的でした。

ユーゴ紛争はなぜ起こったのか、そのきっかけは何だったのか、なぜ泥沼化してしまったのか。それをリアルタイムで取材した著者の言葉は非常に重いです。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

J・モンタギュー『ULTRAS 世界最凶のゴール裏ジャーニー』~ウクライナ情勢を違った視点から見ることができる衝撃の書!

「本書は良質なドキュメンタリーがお好きな方、あるいはサッカーはもとより、スポーツと政治・経済のつながり、さらには文化論に興味がある方にはたまらない一冊だと思う。(訳者あとがきより)」

私もまさにそう思います。

過激なサポーター達の姿を通して社会のなぜ、歴史のなぜを問うていくこの作品は非常に刺激的でした。かなり驚くようなこともたくさん書かれています。ぜひぜひおすすめしたい作品です!

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

木村元彦『オシム 終わりなき闘い』~紛争後も民族対立が続くボスニアで何が起きているのかを知るのにおすすめ

オシム監督は2007年66歳の歳に脳梗塞で倒れられ、日本代表監督を退任しました。ですが彼はそこから驚異の回復を遂げ、後遺症を残しながらも精力的に祖国の融和のために活動しています。本書はそんなオシム監督の帰国後の活動を通して、紛争から20年経った今のボスニアについて知ることができる作品となっています

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

木村元彦『オシムの言葉』~サラエボ出身の名将の半生とユーゴ紛争について知るのにおすすめ

これまで「ユーゴサッカー三部作」としてストイコビッチ氏とユーゴ紛争について語られてきましたが、最終作はサラエボ出身のオシム氏とボスニア紛争についてじっくり見ていくことになります。

この三部作を読めばユーゴ紛争についてかなり広い視点を得ることができます。

オシム監督の偉大さにただただ圧倒される一冊です。オシム監督が病に倒れられたことが本当に悔やまれます。

サッカーファンだけでなく、すべての方におすすめしたい作品です

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

木村元彦『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』~報道によって絶対的な悪者は作られる。NATO空爆の是非を問う衝撃作

先に言わせて頂きます。この本は凄まじいです。とにかく読んでほしいです。それも今すぐ!できるだけ早く!

ロシア・ウクライナ戦争に揺れている今だからこそ大切な一冊です。

この本で語られることはあまりに衝撃的です。引用したいところが山ほどあるのですが分量の制限もありますので今回の記事ではこの本の中でも特に印象に残った箇所を紹介していきます。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

木村元彦『誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡』~ピクシーことストイコビッチ氏とユーゴ紛争を知るのにおすすめ

1990年生まれの私はピクシーことストイコビッチ氏といえば監督のイメージがあったのですが、この本を読んでストイコビッチ氏がいかにすごい選手だったかがよくわかりました。

全世界から悪者と一方的に報道され制裁を受けたセルビア。そのセルビア(ユーゴ)代表として苦難の道を歩むこととなったストイコビッチ氏のサッカー人生は凄まじいものがあります。

私はこれまでボスニア紛争について学んできましたが、セルビア側から見たユーゴ紛争を知れたのは非常に貴重な読書になりました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

宇都宮徹壱『ディナモ・フットボール 国家権力とロシア・東欧のサッカー』~旧共産圏の過去と今をサッカーから知れる衝撃の名著!

ディナモ・ザグレブやディナモ・キエフなどのチームは知ってはいました。ですがまさかそれが内務省や秘密警察から来ていたとは・・・!

内務省といえばロシアいうとあのKGBです。現在はFSBに名前が変わっていますが、KGBはプーチン大統領が在籍していたことでも知られる組織です。ソ連時代の恐るべき組織が「ディナモ」の由来だったと知り本当に驚きました。

これは名著です。思わぬところでものすごい本と出会うことになりました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

長束恭行『東欧サッカークロニクル』~ユーゴ紛争の火種ともなった「5.13」事件も知れるおすすめ作品

この本はサッカーを通して東欧の国々の歴史や文化を見ていく作品です。

特に一番最初に紹介されるクロアチアではユーゴスラビア紛争のきっかけとなったとも言われる1990年の「5.13」暴動事件について詳しく語られます。

著者は東欧を揺るがしたこの事件について詳しく検証していき、さらにはこの地で荒れ狂っていた民族対立の構図を取材していきます。サッカーを通して見えてくる民族対立の背景は非常に興味深いものがありました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

J・モンタギュー『億万長者サッカークラブ』~ロシアのオリガルヒ・アブラモビッチ氏とチェルシーについて知るのにおすすめ

ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに知ることになったロシアのオリガルヒ(新興財閥)。

その中でも最近ニュースで取り上げられているのが名門サッカークラブチェルシーのオーナー、アブラモビッチ氏です。

経済制裁によってアブラモビッチ氏の資産が凍結され、それに伴いチェルシーの運営が立ち行かなくなるというニュースには私も衝撃を受けました。

この本はそんなアブラモビッチ氏とは何者なのか、そしてなぜチェルシーのオーナーとなったのかを知ることができる作品です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

A・クルコフ『ウクライナ日記』~2014年マイダン革命とクリミア編入、東部紛争の経緯を知るのにおすすめ

著者のクルコフはマイダン革命が起きた広場のすぐ近くに住んでおり、この革命の流れを最も近くで見ていたひとりです。そんな作家による混乱の日々の記録が本作品になります。

日記体で書かれているので当時の状況がかなりリアルに感じられます。

この本に書かれているのは現在のロシア・ウクライナ戦争に直接繋がる出来事です。この戦争をより知るためにもこの作品はぜひおすすめしたいです。