2022年4月

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(13)カール・マルクスの出生とドイツ・トリーアのマルクス家

1818年、弁護士ハインリヒの子としてカール・マルクスは誕生しました。

マルクスが生まれたトリーアという町は、古代ローマの遺跡が残る古都です。

そしてこの記事で詳しく見ていきますが、エンゲルスと同じく、マルクスも裕福な家に生まれていて、彼は幼い頃より家族に大切に育てられていました。

また、マルクス家がユダヤ教のラビ(指導者)の家系だったという驚きの事実も見ていきます。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(12)自由奔放で過激な青年ビール知識人とマルクス・エンゲルスのつながりとは

前回の記事まででシュトラウス→ブルーノ・バウアー→フォイエルバッハという、「青年ヘーゲル派」・反体制派思想の流れを見ていきました。

そしてこの記事では若きエンゲルスがベルリン時代に付き合っていた「ビール知識人」なる存在についてお話ししていきます。

実はマルクスもこのビール知識人の一員で、エンゲルスとは入れ違いで会うことはありませんでしたが、二人は同じグループで若き日を過ごしていたのでありました。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(11)フォイエルバッハの唯物論~マルクスの「宗教はアヘン」はここから生まれた

若きマルクス・エンゲルスに絶大な影響を与えたシュトラウス、ブルーノ・バウアー、フォイエルバッハの流れについてこの記事ではお話ししていきます。

マルクスの「宗教はアヘンである」という有名な言葉は、ここで紹介するフォイエルバッハの思想から来ています。

マルクス・エンゲルスは無から思想体系を創造したのではなく、当時活躍していた思想家たちの理論を吸収しながら練り上げていったというのがよくわかりました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

富樫耕介『コーカサスの紛争』~チェチェン、ナゴルノ・カラバフ、ジョージアにおける紛争とロシアについて知るのにおすすめ

「本書は、コーカサス地域の理解にしか役に立たないのではなく、現在の国際社会において様々な地域で出現している民族や国家をめぐる問題を理解する際にも役立つことを目指している。(「はじめに」より)」

まさにこの作品は複雑なコーカサス情勢を学ぶことで「他の地域の紛争を見る眼」も養うことができる参考書です。

しかもコーカサス地方の紛争はどれもロシアと関わりの深い紛争です。

ロシア・ウクライナ戦争を考える上でも新たな視点を授けてくれるおすすめの参考書です

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

安武塔馬『シリア内戦』~アサド政権の実態と内戦の経緯を知るのにおすすめ。ロシア・ウクライナ戦争とのつながりを学ぶためにも

この本は複雑怪奇なシリア内戦の流れを時系列に沿って解説してくれます。

解説はかなり丁寧で、この内戦について全く知らない方でも読み進めていくことができます。この内戦がなぜこんなにも入り組んだ構図になってしまったのかという流れがとてもわかりやすかったです。

また、この内戦に対するアメリカとロシアの駆け引きを知れたのも大きかったです。この内戦がなぜロシア・ウクライナ戦争において重要だったかがよくわかりました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

高橋ブランカ『東京まで、セルビア』~セルビア的作品とは?山崎佳代子氏の指導を受けたセルビア人作家の日本デビュー作

著者の高橋ブランカ氏はセルビア出身の作家です。ベオグラード大学で日本語を学び、その時の指導教官がこれまで当ブログでも紹介してきました詩人山崎佳代子氏でした。

繊細な内面描写あり。思わずくすっとしてしまうユーモアあり。

著者の思いを感じながら読んだ『東京まで、セルビア』は非常に刺激的かつ楽しい時間になりました。

ぜひぜひおすすめしたいです。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

山崎佳代子『ベオグラード日誌』~読売文学賞受賞作!空爆後のセルビア生活を紡った珠玉の言葉たち

ユーゴ紛争、NATO空爆を経たベオグラードの街で詩人である著者は何を見て、感じたのか。

紛争後も続く何気ない日常。

その日常を綴った言葉の中に、じんわりと見え隠れしてくる紛争の影・・・

わかりやすい「特別な出来事」ではなく、そこで今も生きる人たちの日常を捉えたこの作品は非常に稀有な存在だと思います。ただ単に日常を切り取っただけでなく、そこに何か人間生活の奥深さが感じられてくる不思議。

この作品が読売文学賞を受賞したのももっともだなと思いました。不思議な力がある作品です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

山崎佳代子『そこから青い闇がささやき』~NATOのベオグラード空爆を体験した詩人によるエッセイ集~そこで何が起きていたのか

この作品はセルビアの首都ベオグラード在住の詩人山崎佳代子氏によるエッセイ集です。

なぜユーゴ紛争は起こってしまったのか・・・

「セルビア悪玉論」という単純な構図で語られてしまったこの紛争。

そんな国際世論の中セルビアはNATOによる空爆を受けることになります。著者はそんな猛烈な爆撃の中ベオグラードに残り続け、そこに生きる人々の声や、自らの思いをこの本に記しています。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

森住卓『イラク 湾岸戦争の子どもたち』~NATOのユーゴ空爆でも用いられた劣化ウラン弾とは~現在も続く放射能汚染の脅威

1999年、コソボ紛争の中NATO軍は「セルビアによる虐殺を止めること」を理由に、ベオグラードやセルビア人居住地に対し激しい空爆を行いました。そしてその時に使用されたのが「劣化ウラン弾」でした。この兵器は撃ち込まれたエリアに放射能汚染を引き起こします。そんな危険な兵器をNATO軍が大量に撃ち込んでいた・・・私はそのことにショックを受け、「この兵器が引き起こした実態をもっと知らなければならない」と考えこの本を手に取ったのでありました。

この記事ではそんな劣化ウラン弾の恐ろしさについてお話ししていきます。