本日のお題 「神様と仏様の違いって何?(番外編)」

本日のお題 「神様と仏様の違いって何?(番外編)」

みなさんこんにちは。前回までで神様と仏様の違いについてお話させていただきましたが、その最後に「仏様は何者なのか」についてはそれぞれ違った見解があるということをお話ししました。

前回までの記事では当時の日本人の立場から仏様と神様を考えていきました。ですが今回、浄土真宗の僧侶である私個人の立場から考えていきたいと思います。

「そもそも仏様とは何者なのか」

それを考えるにあたり、まず仏教の発祥に目を向けてみたいと思います。

仏教は紀元前5世紀から4世紀ころ、ゴータマ・シッダールタにより始められたとされています。

そして日本で言う「仏様」は元々は「ブッダ」と呼ばれていて、この「ブッダ」とは「目覚めた者」という意味でした。

ここで最も重要なことは、仏教とは私達一人一人が目覚めた者、すなわちブッダになる教えのことを指していました。

それに対し神様は人間の力を超越していて、私たちが祈りや犠牲を捧げることで私たちに何かしらの利益を与えてくれる存在として崇められていました。

仏教ではそのような神に祈る教えではなく、私達一人一人が苦しみを超えていくことを目指す教えでした。そしてその苦しみから完全に開放された存在をブッダと呼んでいたのです。

つまりブッダたる仏様は神様ではなく、むしろ人間の目指すべき存在であると言うことができましょう。

しかし、時代を経て、さらにインドから中国などへ地域を超えていくとその教えが徐々に変化していきます。

いつしかブッダは神様と同じような存在として考えられるようになっていきます。「仏様はご利益をもたらし、人々を救う存在である」というようにです。

とは言いつつも、正確には「目覚めた者、ブッダ」としての仏様は相変わらず僧侶達の理想として存在していました。しかし人々に仏教をわかりやすく伝えるために神様化した仏様も広まっていったという事情があったと思われます。

同じように、日本に仏教が根付いたのもやはり神様化した仏様があったからこそと言えるでしょう。そうでなければ人々の支持も得られず、国を治める中心として仏教が選ばれることもなかったのではないでしょうか。

しかしそのような中でも、志のある僧侶は各々が目覚めた者、ブッダになるべく奮闘していたわけであります。

今日本で知られている大きな宗派の開祖の方々はそれぞれが自らの苦しみと向き合い、いかに目覚めた者、ブッダに近づくのかを真剣に考え、取り組んだ方々です。

そしてその一人一人が「仏様とは何者か」と命をかけて向き合っていた。各宗派の教えはそうして現代に伝えられてきたのです。ここであえて言うならば、

仏教は本来、神様にお祈りしてご利益をいただく宗教ではない。

ということになります。ですが現実には祈祷やお守りなど、ご利益のためのものもたくさんございます。

私はそのこと自体は悪いことだとは考えていません。祈ることそれ自体は決して悪いことではありません。むしろ大切な人を想う祈りは尊いことでありましょう。

私達日本人には神様と仏様が並んで共存することがあまりに色濃く根付いています。ですがそれはそれで日本人の文化としてとても重要なことなのではないでしょうか。

「本来の仏教はこうでなければいけないのだ」と独善的に物事を決め付けて、それ以外のものを敵とするようなことをしなかった土壌が日本にはあった。

これは日本人の一つの個性であると言えるのではないでしょうか。

仏様が日本に入ってきた時も神様を滅ぼすことなく、共存することを選んだ日本人。そして現代に至っても私たちはお寺も神社も、教会まで違和感なくお参りします。

海外の方、特にキリスト教徒やイスラム教徒の方々から「日本人はなんて不思議なんだ」と驚かれるほどのことを私たちは平然と行っているわけです。

良い悪いは別にして、私は日本人のこのような文化を非常に興味深く感じています。

さて、ここまで長々とお話しさせて頂きましたが、「仏様は何者なのか」という問いは、10年前に私が仏教を本格的に学び始めた時からずっと大きな問いとして私の中にあります。そしてその答えは今もまだ出ていません。なぜならこの問いは、

  • 「僧侶としてどう生きるのか」
  • 「自分ははたしてこのままでいいのだろうか」
  • 「自分に何ができるのだろうか」
  • 「仏教は私に何をもたらすのだろうか」
  • 「なぜ私は生きているのだろうか」

など、ここに挙げきれないほどある問題の根源にある問いだからです。

だからこそ、この問いをいつまでも忘れずに持ち続けることが大切であると、私は尊敬する師から教えて頂きました。

さて、本日のお題「仏様は本当に神様なのでしょうか」をまとめさせていただきますと、

「仏様は本来は神様ではない」

ということになります。

今回の記事をきっかけに仏教について少しでも関心を持って頂けましたならとても嬉しく思います。私自身もこれからもずっと学び続けていきたいと思います。

本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

                                  合掌

本日のお題 「神様と仏様の違いって何?(前編)」

本日のお題 「神様と仏様の違いって何?(中編)」

本日のお題 「神様と仏様の違いって何?(後編)」

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